ご挨拶

 国語科が初等教育から中等教育までを貫いて教育課程に位置付けられたのは、1900年のことでした。そしてこの名称は国民学校令の時期を除き、今日に至るまで一貫しています。以下の「学会の歴史と現在」の記載の通り、本学会の名称の由来もそこにあります。
 成立時における国語科には初等教育、中等教育それぞれにおいていくつもの課題が担わされていました。それらのうち初等中等教育を通して求められた柱の一つはことばによる通じ合いの実現でした。そのために言語や文字が統制され、文法が整えられるとともに、言語活動の習熟が図られてきました。当初の課題が解決されたと多くが判断するのであれば、この名称には変更が加えられるはずですし、教科の枠組みそれ自体の再構築もありうるはずです。その一方で、課題が課題として継続しているために、名称と教科の枠組みが今なお継続しているとみなすことも可能です。
 もちろん通じ合いの実現一つをとっても、その目的、範囲、方法、内容、媒体、発達、評価などの検討事項は時代に応じて変動しますし、学校と社会、学校と生活の関係、そして学校のかたちそれ自体も変化しつつありますので、120年を隔てて意味合いが変わらないはずはありません。そのことについては、2020年に入って世界が巻き込まれたパンデミックで私たちは切実に体験してきております。
 そのような事態をふまえて、現在の状況における通じ合いの実現のための論点もまた、本学会での議論や実践を通して鮮明にすること、そのようなことも課題の一つとしてとらえてまいりたいと思います。そしてこうした問題意識と直接的にかかわる、大会の開催などについて、関係各位が献身的な努力を重ねてくださっているところでもあります。今後も前例のない事態に即した試行錯誤が続きますが、会員の皆様のさまざまなかたちでのご参加を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。

全国大学国語教育学会理事長
会長写真
(2020年4月~ )
甲斐 雄一郎

 

学会の歴史と現在

 全国大学国語教育学会は、1950(昭和25)年、大学の国語教育講座を担当する教員を中心に、国語教育研究の充実と発展を期して結成されました。以後、本学会は学会員の弛まぬ努力と地道な研鑽によって着実に成長を遂げ、現在、会員数が1100名を超える研究団体になっています。会員の層も、大学・附属学校の教員、大学院生から、小・中・高等学校等の教員へと広がっています。さらには、国語教育に関心を持つ人なら誰でも入会できる、開かれた学会になってきています。こうして全国大学国語教育学会は、文字通り、わが国を代表する国語教育学会として広く認知され、不動の地位を築いています。

 

学会の活動

学会の活動として、大きく次の三つがあります。

 

1.学会の開催

 1年に2回(定例、春と秋)、学会を開催しています。学会では、自由研究発表、課題研究発表、シンポジウム、パネルディスカッション、ラウンドテーブルなどが行われます。歴史研究、授業研究、比較研究、実践研究など、さまざまな分野から最新の研究成果が発表されています。自由研究発表は、会員であればどなたでも発表することができます。

 

2.学会誌の刊行

 1年に2回、学会誌「国語科教育」を発行しています。20143月現在、第75集まで刊行されています。ここには、編集委員によって厳正に審査された優れた学術論文が掲載されます。本誌に掲載された論文は、国語教育研究の論文の中でも最もステータスの高い論文として評価されています。大学等の高等教育機関への就職の際の業績としても、最重要論文として扱われています。

 2011年度から「全国大学国語教育学会優秀論文賞」が設けられました。その年度の「国語科教育」に論文が掲載された人の中から受賞者が決定され、賞金5万円が贈られます。

 

3.研究情報の発信・交流

 国語教育の理論と実践に関する基本図書の刊行、国語教育研究を啓発・リードする公開講座の開催、学会理解を広め、深めるホームページの充実など国語教育研究の情報発信の基地として広報活動にも努めています。

 刊行図書としては、学会員の総力を結集して、国語教育学研究の発展に寄与する基本図書を刊行してきました。『国語教育学研究の成果と展望』(2002)、『国語科教育実践・研究必携』(2009)、『国語教育学研究の成果と展望Ⅱ』(2013)など、学会ならではの優れた研究成果を刊行してまいりました。

 公開講座は、会員外にも広く開かれ、無料で参加できます。「国語科授業分析の方法」、「国語教科書研究の方法」など、魅力的な話題が取り上げられています。

 
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